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私達が人間を辞めた日
第12章 枯れないディアスキア
背中越しに寿の声が響く。
「お前の体の傷の報告を受けてな...明らかに事情が有りそうだから、調べさせて貰った。そんな事が得意な知人が直ぐにお前の母を割り出してくれたよ」
確かに...私の体を見れば虐待の可能性を考えない方がおかしい。
それに私が作業服の男の予想よりかなり遅く呼ばれた事の理由も...それが原因...
私の年で一人暮らし...そしてアパートの保証人に同姓の人物がいれば、母を割り出す事は簡単だろう。
寿の言葉は続いた....
「お前の母はな...少し金を握らせたら馬鹿みたいに何もかも話したぞ?」
話を聞いた...?
私の母がお金で虐待の事を話すのは...残念だが納得できる。しかし、それは寿にとってかなり危険な行為では無いのか?
この件を例の失踪事件と察する事は教養のない私でもできる...
私は母の性格を知っているので、これで母が警察に通報するような事は無いと断言できるのだが、寿はそれを危惧してないのか?
...まるで...母が警察に通報しても何の問題も無いと確信しているような...
私のおぼろ気な思考は頭を押さえつける寿の手によって中断される。
寿は楽しそうに囁いた...
「今からお前の楽しい思い出を再現してやろう...」