この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
私達が人間を辞めた日
第1章 プロローグ
「ねえ...ニュース見た?失踪事件のヤツ」
ファミレスの一番奥に陣取った三人の女子高生。
先程の世間話よりも少し声のトーンを下げ、軽く身を乗り出しテーブルに肘を着いた言葉の主に合わせるように三人は頭を近付ける。
「あれだよねー...最近四ヶ月のここいらの周辺の県だけで三十件以上失踪事件が起きてるって...」
「見た見た。まだ捜索願が出てなかったり、一人暮らしで気付くのが遅れてる人とか居たらもっと多いかもね...」
二人の返答を受け取った一人は少し表情を険しい物に変え、続ける。
「....でさぁ、失踪した人ってやたらと女が多くなかった?」
「多いっていうか...男の失踪って最近聞いた事無いなぁ」
「私はニュース見たけど...なんか借金?とか色々あった人だから珍しい話じゃないのかな」
「そういえば女の失踪者って理由とか...予想されてなかったよね」
「そもそも扱い小さ過ぎない?普通もっと新聞とかでも騒ぐんじゃないかな。ニュースも二、三分だったし...」
「不気味だよね...私達も気を付けないと....」
「うん...って帰る前にそんな話しないでよー」
「あっ、もうこんな時間じゃん」
三人は軽口を叩き合いながら手を振り、それぞれの帰路についた。