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私達が人間を辞めた日
第15章 私は貴方のモノ
見つけた...私が探し求めていた人...
赤いワンピースに身を包んだ私は、ソファーに座る男に言う。
「ヨシオさん。会いたかったよ?」
笑顔で...態度良く。心の中で繰り返しながら...
このヨシオといういかにも偽名の中年男性は、寿の上客だ。ここでは寿のお気に入りである私達が男の酒の共をする。簡単に言えばキャバクラみたいな物だ。
私達もこの時ばかりは首輪を外し、この男達をもてなす...しかし、性的な行為はしない。寿もお気に入りを好きにされるのは許容できないようだ。
「早苗ちゃん...僕も会いたかったよ」
ヨシオはドギマギした様子で私を見詰める。心無しか、呼吸も少し荒くなっている。
ヨシオの印象を一言で表すなら、スケベな中年親父...そんな男を何故私が探し求めていた人と判断するのか...
その理由は、別の男に聞いたのだが、寿はお気に入りでも稀に客に売る事があるらしい。
私はヨシオに買って貰う事で、この最悪の環境から抜け出そうと企んでいるのだ。
寿に比べたらこんな気弱なおどおどした親父の方がまだマシであるのが理由の一つ、そしてヨシオがかなり私に惚れている事も尚更だ。
ヨシオに買って貰えば、ある程度の自由は与えられるだろうし、この私もヨシオに惚れているという勘違いをしている甘い馬鹿なら...逃げるチャンスもありそうだ。
私が求める男の条件をまとめると、気弱であり、馬鹿であり、私に心を奪われている男。
それはこのヨシオにぴったり当てはまる。