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私達が人間を辞めた日
第3章 減点制度
「痒い...」
そう小さく呟きながら首筋を掻く。
もう一週間は体を洗ってない。最も、こんな檻の中で過ごしているので正確な日付の感覚は失いかけている。
食事が一日三食与えられているのなら一週間で合っているはずだが、こうもする事が無いと時間が過ぎるのが遅すぎて食事と食事の間隔が十時間にも感じてしまうのだ。
この檻でただ寝ていても運動能力に弊害が起こりそうなので最低限の運動はしているが、体を洗えないのはどうも慣れない。
トイレ代わりのバケツには毎日替えられた水が入っているがとてもその水を使う気になれず、貴重な飲料水でトイレットペーパー代わりのティッシュを濡らし軽く体を拭く程度しかできていない。
それでも黒いショートヘアのぬるつきは取れないし、体の垢も満足に落とせない。
更に無駄毛は伸び続け、生理的な不快感を増す。
他の女の子は三日に一度、多い人なら毎日のように寿に呼ばれ、「洗浄」される。時には髪を濡らして帰って来る人も居るのでシャンプーもできるのではないだろうか。ドライヤーが無いのは辛いがそれならまだマシだ。
私が始めて呼ばれた時のように淡白に抱かれるのならだが...
何度か近くの檻の女の子に話し掛けた事は有るのだが、返事をされた事は一度も無いので、シャンプーの有無は定かではない。
何故私が一週間も「洗浄」を受けていないのか、その事を考えると自然に溜め息が漏れる。