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私達が人間を辞めた日
第16章 絶望の味
ぐり...ぐり...
水溜まりの上で踏まれたパンがその形と色を変えていく。
男が足を退けると、そこには最早パンと呼べない程原型の無い物が有る...
「ほら、食わせてやるよ」
「あっ、ありがとうございます」
反射的に返事をし、それを目指して這う。
やっと...食べられる...食べられるなら...なんでもいい...
手を使わずに床のパンを啜ると、ねちょっとした食感と苦味が口内に広がる...
「マジで食ってるぞ」
「しかもなんてコイツ笑ってんだよ」
男達の笑いながらの会話も、今の私には届かない...
美味しい...美味しい...美味しい...おいしい....おいしい....オイシイ...
汚水すらじゅるじゅると吸い....歯応えの無いパンを飲み込むと、私は笑っていた。
「コイツ本格的に壊れたなー」
「ここまで壊れると何か使い道が有るんじゃないか?」
「一応寿様に報告しておくか...」
男達は会話をした後...再び硬くした肉棒を晒して私を取り囲む...
「まだまだ遊んでやるからな?」
「はいっ...もっと...遊んでください...ふふっ...」
笑みが漏れる。
ご褒美の期待に涎を垂らす私...もう...余計な感情は...完全に消滅していた。