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私達が人間を辞めた日
第17章 サヨナラ

「ン!!」

泉は寿が縄を引こうとする、おちょくるような動作を見て、獣のように縄を噛んだ。
そのまま...離していいんだよ?
人の首を落とす程の刃だ...一時間どころか、一分すら無理だろう。両手で持ってても女性の力では一時間なんて支えられない。口を塞がれているので...最後の言葉を交わす事すら...許されない...

「ンンーーーー!!!」

寿が手を離すと...縄が泉の歯からギシギシと滑る...泉は叫びながら歯を喰い縛る。

泉ちゃん...ありがとう...
でもね?私が死ぬのは自業自得なの...
だから泉ちゃんが縄を離しても...私にとどめを刺した事にならないから...思い詰めちゃ駄目よ?
最後まで...何もできなくて...泉ちゃんに酷い思いさせて...ごめんね...
できることなら...泉ちゃんとは...こんな場所以外で出会いたかった...なんて...都合良すぎだよね。

ガリッ!!!その音を聞いた瞬間...全ての物がスローモーションに見えた。
泉の前歯が弾け...口から血飛沫が舞い...縄が離れる。泉の絶望の表情と...勢い良く縄が浮いていく光景...
ドスッ...首から下の感覚が一瞬で無くなる...

「嫌ああああああああああーーーーーー!!!!!」

泣かない...で?最後に聞いた声が...たとえ悲鳴でも...泉ちゃん...の...声で...よ...か...った...

その思いすら...寿の笑い声がかき消した...
結局...私は人生の最後の一秒まで...寿に弄ばれていたんだ...
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