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私達が人間を辞めた日
第20章 【最終章・私達の答え】後編~運命の導き~
【泉side】
冷たい...
初めてこの館で目覚めた時と同じ事を思いながら目が覚める...顔中が濡れていて...どうやら水を浴びせられたようだ。
ぼんやりとした視界に最初に映ったのは...リードを握り、ベッドに腰掛けて私を見下ろす寿の姿。
ああ...結局...私は助からなかった....なら...今から私を待っているのは...
緩やかな思考でも理解できる程の絶望...寿は目覚めた私を不敵な笑顔で見詰め、横を指差した。
「あ...ぁ...!!!」
釣られて横を見ると、掠れた声が洩れる。
その場所にあったのは、激しい暴行を受けたような傷にまみれた父...直道の姿だ。
そして右腕は壁に拘束されている。何故右腕だけかというと...左腕が...切断されているから...
止血の為に縄で縛られ、包帯を巻かれてはいるが...溢れ過ぎた血は包帯から滲み...顔は苦痛に歪んでいる。
「嫌ああああーーー!!!お父さッ!!!?」
直道に駆け寄ろうとするが、寿にリードを引かれ無様に尻餅を着いた。