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私達が人間を辞めた日
第2章 失われた日常
冷たい...
目を覚まして最初に思った事はそれだった。
冷たい床...そして少し寒い...
確か私は男の人に変な薬を嗅がされて...
ゆっくりと覚醒する意識...身体を起こした私は直ぐに寒さの原因を知った。
「えっ?なんで...裸?」
真っ暗な場所で目覚めた私は服を身に着けていなかった。ぺたぺたと身体を触るが下着すら無い。何も...いや、首に何か...首輪?
なにやら丈夫なプラスチックだろうか、前には小さな輪が有る首筋に巻かれた物の外し方が分からず寧ろどうやって着けたのかさえ不明だ。
首輪を外す事は一旦諦めるとまた違和感に気付く。何か...異臭がする。
ようやく暗闇に馴れてきた目を凝らし辺りを見渡すと...衝撃的な光景に思わず息を飲んだ。
「...なに...これって...」
学校の教室の倍近い部屋...そこに立ち上がると頭を天井にぶつけてしまうくらいの高さ、二メートル程の横幅で縦は1メートル程の小さな檻が並べられている。
長方形の部屋の一辺を除く三辺にカタカナのコの字にざっと二十個以上並べられたその檻の一つに...私は居る....
檻は正面以外壁になっていて左右は見えないが前に並ぶ檻には人が毛布を包んで寝ているようだ。...毛布?
肌寒さを思い出し、私は檻の中を見渡した。