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私達が人間を辞めた日
第8章 儚い指先

「なんだか理佳さんって私のお姉さんみたいですね」

隣の檻から聞こえる朗らかな声に照れ笑いを浮かべてしまう。
私は顔の見えない話し相手に本心で答えた。

「私も泉ちゃんの事...妹みたいに思ってるよ?」

この異常な生活の中で....隣の7番である泉の存在が私にとってどんなに大きいだろう。
一回りも年上の私は泉を励ましているつもりが、ずっと泉に支えられてきたのだ。耐え難い屈辱と苦しみに壊れそうだった私の心は、泉によって繋ぎ止められている。

こんな状況でも赤の他人だった私を気遣う泉は本当に強い娘だ。
しかし...その強さが必ずしも泉を守るとは限らない...寿にとって泉のような強い女を屈服させるのがこれ以上無い愉悦なのだろう...
皮肉な事に泉の呼び出しの回数は平均よりも多い...泉は檻に戻ると涙するのだが、一旦泣き止むと気丈に振る舞い続ける。
何もできない私が言った月並みな言葉に励まされたと言ってくれる...
私だって...なんとかして泉を守りたい...

そんな唯一の友人であり妹のような泉にも言えない事が有った...
減点を受けた時に与えられた罰...その内容は勿論だが、私が完全に屈服してしまった事...
あれから一度も呼び出しを受けていない私はまた随分と体を洗っていない。そんな状態で眠りに着くと毎晩のように夢を見るのだ...男達に汚れた自分を見られ...嗅がれ...舐められ...そして...その行為に快感を覚えている夢の中の自分...
目が覚めると...下腹部がぐっしょりと濡れ...子宮が疼いている...
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