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私達が人間を辞めた日
第8章 儚い指先
私の潜在的な性癖なのか、寿に誘導されてしまったのか...あのような行為を受けて快感を感じる事は認めざるを得ない...
ふと物思いにふけると自分の不快な体臭...ベタついた肌の感触...それを男に知られたいと思う自分がいる。
「理佳さん?どうかしました?」
「えっ!?ああ...ごめん。ぼーっとしてたみたい」
泉の呼び掛けで我に帰る...今まで泉と話している時だけは穏やかに過ごしていたのに...こんな時でさえ不純な事を考えてしまっていたなんて...
音を立てないように頬を叩いて気を引き締めていた時...作業服の男が扉を開けた...
「6番!!出ろ!!」
せめて泉以外の人でありますように...その願いは意外な形で叶えられた。
「理佳さん...」
「大丈夫だから...心配しないで?」
泉と囁き合い...素直に男達に従う。
私が罰以外で呼び出されるのは泉にとって初めての事だ...
こっそりと振り返り、笑顔で泉に頷き掛けてから歩き出す...皮肉な事に、どちらかが呼び出しを受けないと私達は顔を合わせる事すらできない。
今日も洗浄を受けないまま廊下を歩く...私は...期待している...
どんなに嫌がっても呼び出しを受ける泉に申し訳がない...
今日訪れたのは...また違う部屋だった。