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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
 お千香は頃合いを見計らい、なるたけ温かいものを徳松に食べて貰いたいと考えている。ゆえに、大抵はその頃に出来上がるように作りにかかるのだ。
 表の腰高が開く音がし、お千香は歓んで振り返った。だが、覗いていたのは、見たこともない男の顔であった。三十前ほどであろうか、どことなく翳を帯びた険のある眼つきが危うい印象を与える。全体的に崩れた雰囲気の漂う男であった。
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