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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
この頃、お千香は自分が次第に透明になってゆくような気がしている。透明―心が透き通って、自分という人間の存在そのものが無に還ってゆくように思えるのだ。
烈しい嘔吐感に苛まれるようになって、お千香はひと回り以上も痩せた。元々白磁のようであったすべらかな膚はますます白くなり、透き通るようであった。
一月も十日を過ぎたその日、定市が老齢の男を今戸の寮に連れてきた。どうやら、その男は医者らしく、お千香をひととおり診ると、淡々と告げた。
烈しい嘔吐感に苛まれるようになって、お千香はひと回り以上も痩せた。元々白磁のようであったすべらかな膚はますます白くなり、透き通るようであった。
一月も十日を過ぎたその日、定市が老齢の男を今戸の寮に連れてきた。どうやら、その男は医者らしく、お千香をひととおり診ると、淡々と告げた。