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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
「ご懐妊ですな。もう五ヶ月に入っておられますぞ」
その言葉に、お千香は少なからぬ衝撃を受けた。傍らの定市は予想外にも愕いた風はなかった。医者は、お千香当人には告げなかったものの、お千香の身体が相当に衰弱していることを定市に宣告した。
―このまま放置しておいては、取り返しのつかぬ仕儀になりましょう。このような場所に置いておかれるよりは、美濃屋へお連れになって、ごゆっくりとご養生させて差し上げた方がよろしいでしょうな。