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夢のうた~花のように風のように生きて~
第5章 《花塵》
この老人は、昔はさる藩の御殿医をも務めたことがあった。今は隠居して悠々自適に暮らしているところ、定市が大店美濃屋の名前を持ち出し、金を積んで、わざわざ往診に来て貰ったのだ。
老医師は、すべてをお見通しのようであった。定市がお千香を今戸の寮に監禁して、陵辱の限りを尽くしていることまでをも見透かされているようでさえある。医者は、定市のお千香への異常なまでの執着を見抜いた上で、暗に度を過ぎた営みがお千香の健康をここまで狂わせたのだと指摘したのであった。
老医師は、すべてをお見通しのようであった。定市がお千香を今戸の寮に監禁して、陵辱の限りを尽くしていることまでをも見透かされているようでさえある。医者は、定市のお千香への異常なまでの執着を見抜いた上で、暗に度を過ぎた営みがお千香の健康をここまで狂わせたのだと指摘したのであった。