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夢のうた~花のように風のように生きて~
第2章 《悲劇の始まり》
お千香の視線に気づいたのか、定市が立ち上がった。後ろに控えていた手代の一人を手招きし、武家の母娘の応対を代わらせると、自分はお千香の方に向かって真っすぐ歩いてくる。定市を見て頬を染めていた娘の方があからさまに落胆の表情を見せていた。
定市は何を言うでもなく、先に立って歩いてゆく。磨き抜かれた廊下を幾重にも折れ、奥向きに入った。ここから先は美濃屋の家族が起居する棟になり、使用人が暮らす場所や表の店舗とは厳然と隔てられている。
定市は何を言うでもなく、先に立って歩いてゆく。磨き抜かれた廊下を幾重にも折れ、奥向きに入った。ここから先は美濃屋の家族が起居する棟になり、使用人が暮らす場所や表の店舗とは厳然と隔てられている。