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限りの月
第6章 出逢い
電灯がある場所まで来ると、男は無言で鞄を手渡した。

「…ありがとうございます……あのっ」
「…何?」
「どうして私を助けてくれたんですか? …危険だって、どうしてそう思ったんですか?」

美織が神妙な顔で尋ねると、男は寂しい表情を浮かべた。

「…覚えてないんだな」

「え?」

「いや、いい。今がどういう状態なのか、知っても後悔しないか?」

男は美織をまっすぐに見つめた。


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