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限りの月
第10章 歪んだ愛
「愛しているんだろう!?」

すぐに答えない美織にイラッとし、哲は荒々しく奥を引っ掻いた。

「ひぁ…!」

乱暴に中をかき混ぜられ、美織は悲鳴に似た声をあげる。

(…どうして…私っ……どうして、愛してるって言えないの…?)

美織は自分の心に問いかけた。

(私は、誰を愛してるの…?)

快楽の渦に飲み込まれる中、美織の脳裏にふと優しい瞳をした紫音の姿が浮かんだ。

『美織』

(…紫音…?)

『美織…』

何度も呼びかける紫音に答えるように、

「…紫音…」

美織はぼんやりと、その名を呟いた。


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