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限りの月
第10章 歪んだ愛
パンッ!!

次の瞬間、左頬に鋭い痛みが突き刺さった。
じんわりと痛みが広がる。

だけどその痛みよりも、気づいてしまった自分の気持ちに美織は戸惑った。

「美織…なぜあいつの名前を…!」

「…私…」

「記憶をなくしても、やっぱりあいつなのか!?」

「………え?」

哲の言葉に、美織は目を丸くする。

「記憶を、なくした…?どういうこと?」

美織は恐る恐る問いかけた。
哲は「しまった」という顔をした後、キッと美織を睨みつける。

「…余計なことを考えられないようにしてやる!」

そう言うと、ポケットからあるものを取り出した。それを美織の下半身に乱暴に押し当てる。

「やっ、なに!?」

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