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喘ぐなら、彼の腕の中で
第9章 胃薬と酔い止め

「今日、1日付き合え」
─── 土曜日の、朝9時。
コーヒーの香りで目が覚めて、ゆっくり体を起こすと
ベッドのサイドテーブルにマグカップが置かれた。
そしてまた足音が遠退いていく。
「……莉央……?」
「それ飲んだら服着ろ。
一度お前の家に寄るから」
え?
なになに?
瞼をこすって、声が聞こえてきた方向をぼーっと見つめると
寝室から見えるキッチンの前で
上半身裸の莉央が立ったままコーヒーを飲んでいた。
「………」
太陽の光が引き締まった体を照らして、セットされていない色素の薄い髪が光っている。
……改めて明るいところで見ると、この男
やっぱりかなりイケてる奴なのかも……
「おい、いつまでもボケっとしてんじゃねーよ」
「……!」
「道混むんだから、さっさと支度しろ」
「……え? う、うん…」
はい、褒めましたけど口の悪さで取消し。
見惚れていた自分の意識が、ようやく戻ってくる。
えーっと、今何て言われたんだっけ……?

