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喘ぐなら、彼の腕の中で
第10章 一発KO

朝、出勤した時に異変に気付いた。
芹澤さんがあからさまに態度を変えて、私を避けていること。
金曜日にきっぱり私をフッたわけですから、普通にしてくれていいのに。
「………」
いや待て違うよね?
普通逆でしょ!
なんで騙されてた私の方が、無視されたり冷たくされたりしなきゃいけないのよ。
てゆーか、いい歳した社会人が朝の挨拶をスルーするってなんなの!?
こっちは気を遣って笑顔でおはようございますって言ったのに!
“ 芹澤は 思い出フォルダ に入れるな。
即抹消しろ ”
………莉央。
心配してもらわなくても、既にゴミ箱も空にできそうよ。
田部さんに寄り添って、資料を確認する芹澤さんをチラッと見る。
あんなに憧れて癒されていた芹澤さんの笑顔が、今となっては鬱陶しい。
・・・私って単純だな。
「あ、もうお昼だね。
沙月ちゃん、裏のラーメン屋行かない?」
「行きます!」
同じチームの先輩に声をかけられて、私はシュバッと立ち上がった。
半年間ずっと好きだった人の、これ以上小っちゃい姿を見たくない。
こってりギドギド系の替え玉も頼んで、汗と共に流して発散しよう。
財布をバッグから取り出して、出口に向かおうとすると
「沙月♡ お昼行こ~♪」
わーーーー! 出たーーーー!!
急に出現した彼女を見て、ひっくり返りそうになった私の目の前で
ランチバッグを持った亜美がにこっと笑った。

