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喘ぐなら、彼の腕の中で
第10章 一発KO


「先週の話の続き♡
聞いてくれるって約束したでしょ~?」


満面の笑みで私のデスクの横に立った亜美を、呆然と見てしまう。
同期とはいえ、ほぼ関わりのない部署まで堂々と踏み込めるってすごいよ。

……それに

あの~……斜め前にいますよ?


「……亜美、ごめん。
私チームのみんなと…」

「えっ!
芹澤さんとお昼行くの!?」


~~~いやいや!
その名前出してないし!

亜美の大きい声で、田部さんと芹澤さんも顔を上げた。

何で自分から注目させるようなこと言うのよ!!


「同期の子と約束してたのねー。
じゃあ沙月ちゃんはまた今度ね♪」

「せ、先輩!
私も一緒にラーメンの方が……」

「沙月、屋上いこ~!」

「あ、亜美……」

「綾瀬」


え?

急に芹澤さんが私を呼ぶ。


「約束を優先するべきじゃないかな」

「…………!!」

「せっかく迎えにきてくれたのに、可哀想だよ」



芹澤さんが穏やかにそう言うと、亜美がこれでもかってくらいのラブラブ目線を彼に向けた。


・・・ナニ、コレ?


芹澤さん、あなた、私が亜美と2人でランチしてもいいんですか?
そもそも、私はノロケ話を聞くのが今日だとは一切聞いていません。

それなのに、なんで私が約束を忘れたヒドイ女みたいになってるの?


「沙月、早く早く♡」

「……はい」


心の中で、サンドバッグをひたすら殴る。

私はラーメン屋に行く先輩達を渋々見送った。




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