この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
喘ぐなら、彼の腕の中で
第10章 一発KO

「先週の話の続き♡
聞いてくれるって約束したでしょ~?」
満面の笑みで私のデスクの横に立った亜美を、呆然と見てしまう。
同期とはいえ、ほぼ関わりのない部署まで堂々と踏み込めるってすごいよ。
……それに
あの~……斜め前にいますよ?
「……亜美、ごめん。
私チームのみんなと…」
「えっ!
芹澤さんとお昼行くの!?」
~~~いやいや!
その名前出してないし!
亜美の大きい声で、田部さんと芹澤さんも顔を上げた。
何で自分から注目させるようなこと言うのよ!!
「同期の子と約束してたのねー。
じゃあ沙月ちゃんはまた今度ね♪」
「せ、先輩!
私も一緒にラーメンの方が……」
「沙月、屋上いこ~!」
「あ、亜美……」
「綾瀬」
え?
急に芹澤さんが私を呼ぶ。
「約束を優先するべきじゃないかな」
「…………!!」
「せっかく迎えにきてくれたのに、可哀想だよ」
芹澤さんが穏やかにそう言うと、亜美がこれでもかってくらいのラブラブ目線を彼に向けた。
・・・ナニ、コレ?
芹澤さん、あなた、私が亜美と2人でランチしてもいいんですか?
そもそも、私はノロケ話を聞くのが今日だとは一切聞いていません。
それなのに、なんで私が約束を忘れたヒドイ女みたいになってるの?
「沙月、早く早く♡」
「……はい」
心の中で、サンドバッグをひたすら殴る。
私はラーメン屋に行く先輩達を渋々見送った。

