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喘ぐなら、彼の腕の中で
第10章 一発KO

心臓が尋常じゃないほど鳴り響いている。
莉央は私を見ずに、威圧的な目を亜美に向けているけど
私はもう莉央しか見えていない。
「………」
亜美は少しの間沈黙していたけど
私と莉央の顔を交互に見てから、ゆっくりと頷いた。
「分かったわ。
あたしも、沙月に泣いてほしくないもの」
「「え?」」
「ごめんね沙月!
芹澤さんの話をするのが楽しくて、つい夢中になっちゃってた。
これからは、沙月の話も聞くようにするね♡」
再び笑顔になった亜美を見て、私と莉央は同時に固まる。
……え? 待って。
その返し方……なに?
「……あのさ。
俺が今言ったこと理解してる?」
「もちろん、してますよ~♡」
「じゃあ、なんで俺が亜美ちゃんが沙月をイジメてるって言ったと思う?」
「え~それは分からない~。
あたし沙月のこと大好きだもん♡」
キラキラした目で言い放った亜美から、莉央は私に死んだ魚のような目を向ける。
……ごめん。
衝撃的すぎて、私も何も言えない。
それに、多分今あんたと同じこと思ってる。
「……最後に聞くけど」
莉央は片手で顔を覆うと、低い声で続けた。
「亜美ちゃん、芹澤を沙月に奪われないか不安だったんじゃねーの?」
「え!? それはアリエナイです!!」
亜美は両手を顔に当てると、頬を赤らめてニッコリ笑った。
「だって、芹澤さんはあたしのことが大好きなんだもん♡♡♡」

