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喘ぐなら、彼の腕の中で
第10章 一発KO



【天然】



本来の意味は、自然に生み出されたもの・人の手が加えられていないものの事を示す。

ただし、現代では “ 不思議ちゃん ” と同じ部類とされる人間に与えられた称号でもある。

話が噛み合わない。
会話が成り立たない。
何を考えているのか分からない。

世の中様々な種類の天然が溢れているけど
彼らが持ち合わせる恐ろしい共通点は、“ 自覚がない ” ということだ。


「…………」
「…………」


莉央も私も、半ば放心するように無言だったけど
ニコニコと微笑みながら芹澤さんの待ち受けを眺める亜美を見て、莉央が口を開いた。


「……亜美ちゃん」

「なあに?」

「君は本当に可愛くて素直な女の子だね」

「え!?///」


莉央の言葉を聞いて、亜美がパッと顔を上げる。
私もギョッとして莉央を見た。


「宮本さんたら~♡
急にどうしたんですか!?///」


ほんとにどうした!?
あまりに強烈なキャラを前に、精神崩壊?

亜美がキラキラと目を輝かせるその先で、莉央は無表情のまま立ち上がった。


「だけど、俺。
あんたじゃ勃たねーわ」

「………!!」

「間違いなく芹澤以外の男もそうだから。
彼氏大事にした方がいいよ。

……どうぞ末永くお幸せに」




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