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喘ぐなら、彼の腕の中で
第12章 心の傷

「……莉央……」
細身のスーツを身にまとって、いつもと同じように全身から色気を放っている。
………心臓のドキドキが増していく。
「扉の鍵……」
「かけた。なんでまた資料室?」
「店舗開発だからよく使うのよ」
「へぇ。芹澤が来たらどーすんの」
「……今日有給でいない。
もちろん、亜美も」
相変わらずキモイな、と笑う莉央をじっと見つめる。
広さ8畳程のスペースに、本棚と1台のテーブルがあるのみ。
資料室はフロアの端にあって、この時間ともなれば人は来ない。
……2人きりで話すなら、好都合の場所だ。
「……ねぇ、莉央」
ネクタイを緩める莉央に向かって、私は切りだした。
「あのね、話が……
………!!」
私の言葉を遮って、本棚に寄りかかっていた体を莉央が持ち上げる。
そのまま抱きかかえられて、隣りのテーブルの上に降ろされた。
「ちょっと…!」
「終わったの?」
「え!?」
「生理。
この1週間俺を避けていた理由は別にあるんだろうけど、面倒だからそーゆーことにしとく」
私の前に立って、莉央が顔を近付けてくる。
そういえばたまたま重なってたな……って違う違う!
慌てて莉央から顔を逸らした。

