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喘ぐなら、彼の腕の中で
第15章 あと、もう少し


「………っ」


心臓がバクバク鳴り続けているけど、体から一気に力が抜けて
本棚の前にへなへなと座り込んでしまう。

芹澤さんの足音が遠退いて、資料室の扉が完全に閉まると
莉央が私の前にしゃがんだ。


「……男気、発揮しすぎ」


莉央はふっと優しい笑顔を浮かべる。


「襲われてるんじゃねーかって
一瞬頭を過ったけど、逆だったな」

「………」

「お前最高。 すげースッキリした」


莉央は楽しそうに笑うけど
私は胸がドキドキして破裂しそうだ。


……最高なのは、あんたでしょ……

激痛のトドメと、見事な捨て台詞

なんでそんなにカッコイイのよ……


「……私……
芹澤さんに向かってとんでもない悪態を……」

「気にするな。
100%あいつの方が立場ねぇし、窮地に追い詰められてる」

「……でも」

「お前もまだまだ言いたいことはあると思うが、変人は相手にするだけ時間の無駄だから。
これ以上何もしてこねぇよ、もう忘れてやれ」


資料室の窓から太陽の光が射し込んで、莉央の髪がキラキラと光る。

低い声が、妙に色っぽくて

私を見つめるその瞳が、とても綺麗で

芹澤さんと亜美に対する不快感が消えていくと共に

私の心が莉央で満ち溢れてくる。





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