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喘ぐなら、彼の腕の中で
第3章 不変と豹変


「………」


昨日の二日酔いが、まだ残っていらっしゃるのかしら。


午前9時半、これから1日が始まろうとしている明るい社内。
今日中にやらなきゃいけない業務がてんこ盛りだから、この男の狂言に付き合ってる暇はない。


「頭大丈夫?
溜まってるなら他の子にお願いしてくださーい」

「沙月」

「だから、名前で呼ばないでってば…
……!」


ドアノブに手をかけて出ようとした瞬間
後ろから、莉央の手が私の腰を抱えてきて


「……!?」


ぐっと体を持ち上げられて、テーブルの上に落とされた。


「〜〜な…!」


なんなの!?
一瞬の出来事で、頭がパニックを起こしている。

テーブルの上に寝かされた私。
両腕をぐっと押さえつけられて、真上から見下ろされた。


「……り、莉央…」


全身がゾクッとするような、冷えた視線を注がれて
体が金縛りにあったように動かない。



─── 莉央が

私に触った ───



「分かってると思うけど、ここ防音じゃねぇから」


片手は私の腕を押さえたまま、莉央はもうひとつの手で自分のネクタイを緩める。


「隣りの部屋の音が聞こえるってことは
俺達が声量を上げれば、当然バレるってことだ」



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