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喘ぐなら、彼の腕の中で
第3章 不変と豹変


私と莉央がいるのは、応接室5番。
隣りの4番の部屋にいるのは……


「……莉央。一体どういうつもり?」


話の内容までは聞こえないけど
看板の件で業者と会話する、芹澤さんの声

壁を伝って、確かに私の耳に届く。


「どういうつもりって?」

「〜〜とぼけないで!
何がしたくてこんな……」

「だから言っただろ。
今からお前をここで抱くんだよ」

「………!!」


叫びたいけど、こんな状況で大きな声は出せない。

……それに
有無を言わせない莉央の目とその低い声によって

どうしたわけか……言葉も、体も
私の全ての自由が利かない。


「……沙月」


莉央の声はまるで催眠術のようだ。

動けない私に近付いてきて………静かに唇が重なった。


「……っ」


……これは

何……?


莉央の舌を受け入れた私の体が、一瞬で火傷したように熱くなる。
……今まで感じたことのない、脳が痺れるような刺激。


「……んん…っ!」


地の底まで落とされるんじゃないかと思うくらい、強く押さえつけられてる。

だけどそれと同時に
莉央は私を吸い上げるように、味わうようにキスを続けるから

体が宙に浮いてしまうような錯覚に陥ってる。




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