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喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝

─── 昨日の金曜日、資料室にて
遊び人で心の無い男が、初めて自分の想いを口にした。
“ 幸せになってほしい ”
“ 放っておけない ”
“ 逢いたくなる ”
そんな言葉を連発されて、私はもう完全に莉央の虜だ。
だけど
“ 毒を完全に抜くまで、もう少し待て ”
彼は、私に停戦を申し立てた。
………そうね。
人は急には変われない。
彼は今までずっと過去に囚われて生きてきたから、難しいことだって分かってる。
私を大事に思ってくれるが故の “ 待て ” だとしたら、それは素直に嬉しく思う。
………でもね、莉央。
あんたもよく知っているでしょう。
恋愛面に措いて、私はとっても面倒な女なの。
他の女を切ってあんたの戸惑いが消えるまで、大人しく待ってなんていられない。
………だから
追い風が吹くこのチャンスを逃さない為にも
本当の心が、また見えなくなるのを阻止する為にも
綾瀬沙月、25歳。
宮本莉央、27歳のハートを完全制覇する為に
………いざ、出陣!!

