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喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝

莉央は諦めたように大きく溜息をつくと、私の隣りにどかっと座った。
「はぁ……何が夢と魔法の国だ。
悪夢と魔物の間違いだろ。
激甘な匂いを漂わせながら、こんな恐怖に突き落とすんだからな」
「どんな捉え方してんの。
全国のファン敵に回すわよ」
「1番の悪魔は間違いなくお前だ」
あの時の感覚を思い出したのか、莉央は忌々しげに写真を見つめる。
………許せ、莉央。
事前に連絡したってどうせ来ないだろうし、あんたを土俵に上げるにはこうするしかなかったの。
そして、こんな朝に訪ねてきたってことであんたも理解してる通り、部屋に入る事が目的じゃない。
……ここからが本番。
「莉央。今日1日付き合って」
拒否されないって分かってるけど、胸がドキドキと鳴り響く。
莉央はチッと舌うちをして、写真を私に向けて放り投げた。
「まさかとは思うが、またあの御伽の国に行くんじゃねぇだろうな」
「そうしたいところだけど、違うわ」
前回莉央がそのテーマパークに挑んだように
今回は私が戦闘態勢に入る番だ。
って別に戦うわけじゃないけど、気分はそんな感じ。
「車出して。
この前と同じ、公園で待ってる」

