この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
喘ぐなら、彼の腕の中で
第16章 先手必勝

「……なんだそれは。
なぜそれをお前が持ってる」
「あら気付かなかった?
ウォータースライダーが最後滝つぼに落ちる瞬間、カメラで自動的に撮られるのよ」
「んなこた分かってる!
いつの間に手に入れたんだ!」
ダイビングフォトと名付けられたその写真は
アトラクションが終わった後、出口で自分達が映った場面を見る事ができる。
気に入ったら購入することができるんだけど
残念ながら、当時の莉央はそれどころじゃなかった。
「莉央がトイレでリバースしてる間に買ったの」
「~~吐いてねーよ!」
「いいよ、もう分かってるから」
「ふざけんな!今すぐ捨てろ!」
「嫌よ。宝物だもん」
カメラに向かってピースサインをする私の隣りで、綺麗な顔を引きつらせている莉央。
目をぎゅっと瞑って………何よりもその手だよ。
普段色んな女をイかせているであろう手が、私に助けを求めるかのように右腕を掴んでいる。
「この写真があれば。
この先どんなに悲しいことがあっても、笑顔になれる気がするんだ」
「………!!」
莉央が私の手からバシッと写真を奪ったけど
「いいよ、それは莉央にあげる♡」
余裕で微笑んだ。
「もう1枚は、大切に引き出しにしまってあるから。
……いつでも披露可能な、会社のデスクに♪」

