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喘ぐなら、彼の腕の中で
第17章 この手を、もう一度


─── その時



「……母さん」



莉央の声が聞こえて、ハッと我に返る。

恐る恐る顔から手を外すと、莉央が真っ直ぐ前を見つめていた。

その先に………


「……ふふっ。もう、どうしましょう」


キラキラと輝く笑顔のおばさん。

その目から、一筋の滴が零れ落ちた。


「………っ」


ドクンと心臓が鳴る。

翔ちゃんと私も、その涙に一瞬で目を奪われた。


「沙月ちゃん、 最っっ高♡」

「………!!」

「感極まって胸いっぱいで、すぐに言葉が出てこなかったわ。
こんなにも真っ直ぐ、莉央のことを想ってくれているなんて」

「………」

「おばさん、感動して泣いちゃったじゃないの~」


おばさんは笑いながら涙を手で拭う。

そして

莉央を見つめ返すと、さらに目を細めた。



「良かったね、莉央。

あんたを理解して幸せにしてくれる人が、1番近くにいてくれる。

こんなに素敵な女性、待たせるなんて勿体無いわ」


「……っ」


「素直になって、沙月ちゃんの想いに応えてあげなさい。

母さんのカンが当たっているなら

きっと、あんたの心もそれを望んでいるはずよ」




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