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喘ぐなら、彼の腕の中で
第17章 この手を、もう一度


………熱い想いが込み上げてきて、きゅうっと胸が締め付けられる。

勝手すぎる私の発言を、こんなにも暖かい言葉で受け取ってくれた。

心臓が急激にドキドキしてきて、私も泣いてしまいそうだ。


「………」


莉央はおばさんをじっと見つめると、小さく口を開いた。


「……それ、悲しくて泣いてるの?」


……!?
え!?


「んなわけあるか!!」


莉央の発言に驚くと同時に、翔ちゃんがガタッと椅子から立ち上がってツッコミを入れる。


「アホだなお前は!
今おふくろが言った言葉聞いてたのかよ!」


そ、そうだよ莉央。
これが悲しみの涙だったら、私もう一生立ち直れないんですけど……


莉央はまるでどこかに心を持っていかれたかのように、呆然としておばさんを見続けている。
立ち上がってる私と翔ちゃんのことは、目に入っていないみたいだ。


「ちっとも悲しくないわよ?」

「……でも、泣いてるし……」

「ふふっ、バカねぇ莉央」


おばさんは肘をテーブルにつけて楽しそうに笑う。


「嬉しくて泣いちゃったのよ。
そういえば……何十年も前に、同じことがあったような気もするわね」

「………っ」

「あの時も今でも、気持ちは変わらないの。
母さん、莉央が幸せになるのが1番嬉しいわ♡」




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