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喘ぐなら、彼の腕の中で
第20章 2人の始まり

.。.:* side 莉央 *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*
『1人清算につき、1キャラクターをプレゼント。
莉央の愛するハチミツ好きな彼に辿り着くまで、頑張ってね』
『意味不明。寝ボケてんのか?』
『会社に着いたら分かるわ』
月曜日の朝8時、出勤途中の電車内。
前日家に戻った沙月から届いた、不可解なメール。
エレベーターを降りて営業部のフロアに着くと
俺のデスクの上に、“ そいつ ” はちょこんと座っていた。
「宮本さんお早うございます」
「………」
「あ、それ。
さっき綾瀬さんが置いていきましたよ」
立ち尽くす俺を見て、隣りのデスクから木村が声をかけてくる。
閉じたノートパソコンの上に、でかい耳をしたピンク色の物体。
10センチ程のぬいぐるみを見て、俺は溜息をつきながら席に座った。
「どうしてまた?」
「嫌がらせだ」
「宮本さん、その子の名前知ってます?」
「知るかボケ。単なるブタだろ」
「熊の○○○○のお友達ですよ。
ちょっと気が弱いけど優しくて、森の仲間たちからも愛され……」
「キモイな、おい。
なんだよその詳しい紹介」
「俺、年パス持ってるんスよ~」
「年パス?」
「年間パスポートです」

