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喘ぐなら、彼の腕の中で
第20章 2人の始まり

おととい沙月に買ってやったのと同じ、甘いカフェラテを飲みながら、木村は楽しそうにパソコンの画面を見せてきた。
キャラクターが勢揃いしたデスクトップ。
……つーかなんだよ年パスって。
1年中あの中にいるって刑務所並みだな。
男のくせに前からナヨナヨしてると思ってたが、まさかこんな近くにあの国の住人がいたとは……
「花畑やら未知の惑星やら、この会社には色んな物体が生息してるんだな」
「え?なんの話ですか!?」
「こっちの話。
お前そんなどうでもいいことより、金曜にヘマした契約書ちゃんとまとめたんだろうな?」
あ~そうだった~っとカバンをゴソゴソと漁る木村。
焦る姿を横目で睨みながら、パソコンのフタを開けると
コブタのぬいぐるみがデスクの端に転がり、横たわった状態で止まった。
「………」
熊のアトラクションに乗った時、このピンクの生物もやたら見た記憶がある。
………あのテーマパークを避けて生きてきた俺にとっては、当然こいつらに興味なんてねぇはずなのに
全体的にぷりっとした形に、円らな瞳……
至る所で甘い匂いがする残酷な環境だったけど、これを見ると少し気が紛れた気がする。
熊と豚と、もうひとつオレンジ色の奴が等身大で登場した時は
ガキみてぇに喜んで写真を撮る沙月の横で
不覚にも、なぜか俺まで胸が躍るような感覚に……

