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喘ぐなら、彼の腕の中で
第20章 2人の始まり


「………っ」


突然のキスに頭がくらっとして、手に持っていたバッグを床に落とす。

控えめにつけていたグロスを舐めるように、莉央が唇を離した瞬間

1Fに着いたエレベーターのドアが開いた。


……な、ななな何してんのよ~~!!


「バカ!
誰かに見られたらどーするの!?」

「エレベーターが開く前の隠れキス。
よくあるオフィスラブのシチュエーション」

「だ、だから何なのよ!///」

「緊張吹っ飛んだだろ」


余計にバクバクしたっつーの!

笑いながらエントランスを抜ける莉央を、慌てて追いかける。

自動ドアを抜けると、雲の間から一筋の光が射し込んだ。



「交渉がうまくいったら抱いてやるよ」

「先方に怒られたら慰めてあげるわ」



交差点の分かれ道で、私達は自然と手を握った。

お互いの想いが、この手から伝わっていく。



「諦めるなよ」

「分かってる。 負けないでね?」

「当たり前だ」



─── 手を離しても、私達は心が繋がっている。


キラッと太陽が輝く中、莉央と私は笑顔で手を挙げた。





「「ベストを尽くせ」」












♥おしまい♥




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