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喘ぐなら、彼の腕の中で
第23章 ★極上彼氏

『おい、いいからさっさと開けろ』
「……え?」
『ドア。早くしろよ』
電話と窓の向こう側の共同廊下から、同じ声が聞こえる。
え!?
ま、まさか……!!
慌ててベッドから飛び起きる。
狭い廊下を抜けて、玄関の鍵を開けると………
「……莉央……!」
相変わらず上から下まで、センスのいい夏服を着こなして
両手に荷物を持った莉央が、玄関の前に立っていた。
お洒落メガネを外したその綺麗な瞳を、まっすぐこちらに向けて
……ギロリと睨まれる。
「き、来てくれたの…」
「本当に寝てたんだろうな?」
「え?」
「水分取った?」
「あ、う、うん…」
「冷やしたのかよ!?」
「ひ、冷やしました!!」
手に持っていた氷枕を、莉央の前にバッと差し出す。
莉央は無表情のまま私をじっと見つめた後、小さく溜息をついた。
「……思ったより、顔色が良くて安心した」

