この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
喘ぐなら、彼の腕の中で
第5章 忘れさせて

何よ、それ……!
胸に熱い何かが込み上げてきて、いっぱいになる。
心なんていらないって言い放った、歪んだ男のくせに……
「……莉央…」
『くだくだするな。芹澤の前での公開プレイに変更するぞ』
「~~!?」
『早く来い』
最後はいつもの口調で言い捨てられて、電話が切れた。
“ 泣いてるだろ、心で ”
「……っ」
芹澤さんと何を話したか、今どんな状況なのかも伝えていないのに
私の今の気持ちを分かってくれたような、核心をつく言葉。
「なんなのよあいつ……」
目的が体だけの関係に、そんなの必要ないのに。
呼吸を整えてから、大通りへふらふらと足を進めて
すぐに停まったタクシーに乗りこむ。
会社に近付くにつれて
忘れていた熱さが、再び体の奥から溢れてくる気がした。

