この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
喘ぐなら、彼の腕の中で
第5章 忘れさせて

「言えよ。
聞かなくても分かるけど、言わせたい」
………なに、その甘い声。
子猫みたいな可愛い表情なんなの?
さっきまでドSだったのに、一転してこの爽やかさ……
「……よかった、わ」
悔しいけど、バレてるから素直に言うしかない。
「すごく…気持ちよかった」
「少しは寂しい気持ちが癒えたか?」
「……分からない」
ていうか……だんだんと火照りが落ち着いてきて
さっきまでの自分と今の状況。
あ、ありえないんですけど………
「ギリで終電間に合うな。
早くイッてくれて良かったよ」
莉央は平然として自分のデスクに戻っていく。
その後ろ姿を見つめながら、再び心臓がドキドキしてきた。
20年、幼なじみとしてここまできたのに
まさか今になってこんな関係になるなんて、誰が予測できただろう。
─── この時の私には
唐突に距離を縮めた、この時の莉央の心情も
この関係が今後どう変わるかも
分かるはずが無かったんだ………

