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喘ぐなら、彼の腕の中で
第6章 ベストを尽くせ

………胸に熱い想いが込み上げてくる。
嬉しくて泣きそうだ。
私の努力を認めてくれた人がいる。
自分のことのように、喜んでくれる人がいる。
商品の脇役となるたかが什器の為に、部署を越えて協力してくれた人達がいる。
そして………
「沙月」
エレベーターが到着した時
後ろから莉央が近付いてきた。
「大丈夫だ、きっと成功するよ」
莉央は私の背中を押して、エレベーターに入れると
ドアを片手で支えて微笑んだ。
「ベストを尽くせ。お前なら出来る」
「……っ」
「この逆境を楽しんでこい」
エレベーターのドアが閉まる時には、彼はもう立ち去ってしまって
胸が破裂しそうな私は
感謝の気持ちを、言葉にすることができなかった。

