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喘ぐなら、彼の腕の中で
第6章 ベストを尽くせ

『綾瀬ちゃん!聞いたよ~。
陳列シェルフ、オープン前に戻ってくるんだって?
良かったじゃん!』
什器を作ってくれた会社の、組立作業員のおじさんの笑い声。
廊下でエレベーターを待ちながら、携帯を耳に押し付ける。
「待たせちゃって本当にごめんなさい。
私も今からすぐ向かいます。
でも、トラックが着くのが6時くらいで…」
『いいっていいって!
それまでに他のセットを進めるから。
綾瀬ちゃんが頑張って作り上げた什器だからさ。
届いたら10分で組み立ててやるよ!』
「………っ
ありがとうございます!」
電話を切ると同時に、青山店の番号から着信が入った。
『沙月さん~♪ 聞きましたよ!
やったじゃないですか~~♡』
電話の向こう側で、店長の女の子がキャッキャと明るい声を出す。
『シェルフが完成したら、超特急でディスプレイしましょう。
2人で何度もシミュレーションしたし、絶対間に合いますよ!』
「………っ」
『沙月さん、諦めないでくれてありがとう!
完璧なショーウィンドウが完成すれば、私達販売員のモチベーションも上がります。
オープンまであとちょっと、頑張りますね!』

