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喘ぐなら、彼の腕の中で
第7章 涙

─── 青山は、この時間にもなればより多くの人で賑わう。
高級ブランドショップが並ぶ大通りは、ケヤキの木が車道の両側に連なって
街のネオンや車のヘッドライトで、眩しいくらいキラキラと光っている。
「………」
店舗を出て車道側に進み、花壇のコンクリート部分に腰かけた。
目の前のカフェで、乾杯をした関係者の面々が笑顔で歓談している。
……その横に
通りに面した、ガラス張りのショーウィンドウ。
食器や造花を並べたディスプレイが、美しく存在感を放っていて
その前を通る人達が、笑顔で飾られた雑貨達を見ている。
「7時10分」
腕時計の針が指す今の時刻を見て、思わず笑みが溢れた。
ショーウィンドウの最後の照明をつけたのは、15分前。
ギリギリだったけど
当初の予定通り、青山店は無事にプレオープンを迎えた。

