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喘ぐなら、彼の腕の中で
第7章 涙

─── どのくらいの間、そうしていたのか分からない。
私は子供のようにわんわん泣いた。
失恋して泣くなんて、今まで一度も無かったのに……
……いや、たった一度だけあったかな。
しかもあれは初恋で、確か相手は……
私が泣いている間、莉央は最後まで一言も話さなかった。
そして、指一本として私に触れなかった。
抱く時はあんなに強く、私の体を引き寄せるのに
一体何が彼にとっての境界線になっているんだろう。
“ 逢いたいんだ ” と言った、莉央の真意も分からないままだ。
………だけど
私が泣き疲れるまで、莉央はずっと傍にいてくれたから
ただ、泣ける居場所を作ってくれた彼に
私は自分でも気付かないうちに
この時点できっと、莉央に惹かれ始めていたんだ ───

