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喘ぐなら、彼の腕の中で
第7章 涙

「……芹澤さんがいいの。
芹澤さんじゃなきゃだめなの」
入社して同じ部署に配属された時から、ずっと憧れてた。
いつも優しくて、新人の私に丁寧に教えてくれて
だから
憧れの気持ちが好きって感情に変わった時
想いを受け止めてくれた時は、本当に幸せだった。
「どうして私だけを見てくれないの?
あんなに好きだよって……愛してるよって言ってくれるのに」
「………」
「どうして心から、そう想ってくれないの……」
膝の上でぎゅっと握った手の甲に、涙の粒が止めどなく落ちていく。
芹澤さん、私、泣けたよ。
こんな私でも、涙が出るんだよ。
それでもあなたは、彼女じゃなきゃだめなの……?
「私、亜美になりたい」
「………!」
「亜美になって、芹澤さんに抱きしめてもらいたい。
秘密の恋愛でいいから、どこにも行けなくてもいいから」
仕事で成功しなくても、褒めてくれなくてもいいから
「ねぇ、莉央
私はどうすれば亜美になれる……?」

