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水は低きに流れる
第1章 断われなくて
私の住む町から車で40分で行ける町の大型スーパーの駐車場で待ち合わせ。

この町に私は1年半住んでいた。

もう2度と来ることなんてない町だと思ってた。




18歳で恋をして、19歳で結婚、21歳で離婚。

元夫関係の人の連絡先は全て削除していた。



『愛美(えみ)ちゃん?会えないかな?』



半年ぶりに聞く受話器ごしの声。

元夫の1つ先輩のヒデさん。

電話越しの優しい声に人懐っこい笑顔が思い出される。




『でも・・・』

『ミサが愛美ちゃんに会いたがってんだ』

『ミサちゃんが?』


一瞬、ヒデさんと2人っきりかと勘違いしてた自分が恥ずかしくなる。



ミサちゃんはヒデさんの彼女。

私と1つしか違わないのに、落ち着いてて大人しくてはかなげな美人さん。

ヒデさんとミサちゃんは3歳差の幼馴染でお似合いのカップルだ。

私にとっては理想のお兄ちゃんとお姉ちゃんって感じ。

元夫は嫌がってたけど、私は2人が大好きでいつも4人で遊んでいた。



だから、急な離婚で2人に連絡もしないまま別れたのが唯一の心残りだった。



『いいよ』

『良かった。俺らは日曜しか休みがないんだけど・・・』

『大丈夫、私、バイトの休み取れるから』

『じゃ、来週でも良い?』

『うん』




離婚した後、連絡くらい入れても良かったのに、なんとなく元夫の交友関係を切って、新しく出直そうと思っていた。

自分からは会うつもりはなかったけど、ヒデさんとミサちゃんが会いたいと言うなら断れない。

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