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愛すバー
第7章 アンドーナツ
田辺 頼子


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ホームから電話が来たのはまだ少し肌寒い春の初めだった。




伯母が少々風邪気味だという事で私は様子を伺いにきた。




今日のお土産のアンドーナツを片手に、伯母の部屋に向かうとスヤスヤと眠っているのだが、時折コンコンと咳が出る。




「伯母さん、頼子です。早く風邪治してね。伯母さんの好きなアンドーナツ持ってきたのよ」




付き添いのヘルパーさんにアンドーナツの袋を渡した。




「風邪気味で食欲ないかもしれませんが、アンドーナツならもしかしたら少しは食べるかもしれないので、食べさせてやって下さい」




「分かりました」




ヘルパーさんは快く笑顔で受け取ってくれた。




「伯母さん、また後で来るね」



もちろん返事はないが、一言声を掛けて部屋を出た。




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