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覚醒
第1章 プロローグ
 大手コンサルティング会社女子社員:クレア
 コンサルティン会社個人営業:山下

私はすでに何度も仕事の受注をクレアの会社からいただいている。テキパキ仕事をこなすわずか入社3年目のクレアに私は惚れていたのかもしれない・・・
私には結婚10年目の妻もあり、クレアには恋人もいるようで、私に恋愛感情など微塵もない。
私は恋愛関係には疎く、経済関係にしか頭が回らない。そんな私はクレアを食事に誘うことすらできなかった。ある日の打ち合わせ中私はクレアが落としたとハンカチをそっとポケットに忍び込ませた。家に帰る途中公園のベンチに座りハンカチの匂いを嗅いでみた。
ほのかな石鹸の匂い。この香りの裏にはクレアがトイレで・・・想像するだけで私の脳内血管は渦めき、沸き立ち、理性を失いかけていた。
しかしクレアは知っていた。私がハンカチをポケットに入れ持ち帰ったことを、ただクレアは何も言わなかっただけ。正直クレアの気持ちの中にはハンカチ一枚でこの中年男と話す事、関わりを持つことが面倒であり不快であった。だから黙っていた。しかもそのハンカチはクレアのものではなかった。クレアの上司が落としたハンカチをクレアが保管していただけだった。その日クレアは他の女子社員と女子会に出席していた。
そこでクレアは酔った勢いもあり、ハンカチを私が持って帰った事、その後の私がハンカチの使い道を想像し、面白おかしく話した。「変態ー「キモいっっつー」そんな声がイタリアンレストランの中に響き渡る。場に合わない会話ではあったが、そこにいたクレアの友達は盛り上がっていた・・・そんな事は知らず私はハンカチを大事に大事に持ち帰った。
しかしこれをきっかけに私はこの世のものとは思えない、想像すらできない至福の時間を得ることができた。これは一瞬ではあるが私の中にある理性が弾け、一瞬の至福を得た物語である。
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