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吼える月
第27章 再来
◇◇◇
「このチビ!! なにが俺より頭がいい、だ!? お前がどうやって、青龍殿のあの難関な罠を抜けたのかとドキドキしてたのに、単純に"罠だらけの青龍殿は、宙に浮いて高く移動していれば罠が発動されない"のと、"人間以外には幻術の効果がない"っていうだけで! 賢いのはお前じゃなく、お前を運んで飛んだこの鳥さんだろうが!!」
大きな熊鷹の背中の上に胡座をかいて座るサクが、先頭にいる…、鷹の足にぶら下がって飛んでいるユエに怒声をあげる。
――ユエがここに来れたのは、サクちゃんより頭がよかったからで。
するとユエは、背中を鷹の足で吊られたまま、サクを振り返り……口に手をあてて、無邪気な笑顔を見せた。
「なんでお前、こんなにでかい鳥をたくさん率いていられるんだよ!? お前の何倍もある鳥じゃねぇか」
「ええと…ユエが賢くて可愛いから?」
「……調子にのったチビ、ちょっとこっちに来い。鼻摘まんでやる!!」
「きゃははははは!! いや~ん」
「喜ぶんじゃねぇよ、お仕置きだぞ、お仕置き!!」
「きゃはははは!! お仕置き、お仕置き~」
「この分からず屋の鼻、摘まんでやる!! おい、ワシ!! あのチビの横につけろ!!」
サクが熊鷹の頭にある冠羽を撫でると、鷹は喜んだようにその翼を羽ばたかせながら、猛速度で少し下降してユエの隣につく。
「こら、鼻だせ!!」
「きゃはははは!! いや~ん!! 鳥さん、もっと早く!!」
「待てこら!! ワシ、あのチビをぶらさげてる鷹に負けるんじゃねぇぞ、さあ行け、お前の強さを見せてやれ!!」
ぴぇぇぇぇぇ~。
熊鷹は気合いを入れているかのように鳴いて、さらに速度を上げたユエの鷹を追いかける。
「ねぇ、ジウ…。武神将って、あんな小さな子供に遊ばれても、初めて見るこんな大きな鳥と睨めっこするだけで、たったひとり…、鷹の背中に乗れちゃうものなの?」
その後ろについているのは、ユエと同じように鷹の足にぶらさがって運ばれているテオンと、同様に武装したジウ及び屈強な青龍の警備兵達。
その数、100はくだらない。