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吼える月
第28章 企図
「陛下…」
ユウナから素早くリュカが離れて、ゲイに頭を垂れる。
身体から重みが消えたユウナは、今の状況が救われたのか、それとも悪化する前触れなのか判断出来ず、不安に鼓動を早めていた。
少し前まで、ゲイに命を狙われていたのだ。
サクが駆け付けてくれなかったら、間違いなく自分は死んでいた。
あの時ゲイは一旦船に引き、サクとシバが水の壁の中に居た自分達との間に入って、迫り来る船を破壊していたはずだ。
その船に自分がいるのだとしたら、サクは…シバはどうしたのだろう。
まさか……。
「これではその姫が、余の"口直し"にならないではないか。興ざめだ、後にしよう。余は分け前をひとに施すが、未遂いえど他に先に手を出されるのは好かぬ」
「申し訳ありません」
「ふふ…言い訳をしないところが余が好くところだ。それにこの船で随分と、隣室での営み事をお前に"聞かせて"しまったから、お前が"溜めて"しまったのも無理はない。余の抱き方は半端ないからな。……以後は気をつけよ」
「御意」
ユウナは唇を戦慄かせた。
時間が経てば、相手が変わっただけの凌辱が始まるのだ。
……また。
「姫と同じ顔をしているとはいえ、お前の"妻"の淫乱ぶりは少々飽きてきたところ。それを見計らって余に姫を献上するとは見上げた忠誠心。
では、さっさとすべきことをしてから、お前が手出ししたくなるほどの姫が、どう快楽に堕ちるか、そこを楽しみに堪能するとしよう」
ユウナは目を瞠った。
婚姻したばかりのリュカの妻は、ゲイに抱かれているというのか?
それをリュカが許しているというのか?
それに対し頭を垂らしたままのリュカの反応はない。
ユウナの驚愕ぶりに、満足そうにゲイが笑う。