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第28章 企図

　



「――……。ええええ!?　青龍が目覚めるのを待っているの!?」

「ユウナちゃん、内緒話の意味ないじゃない!!」


　ユエは人差し指を唇のあて、しーっしーっと声を潜めるように言う。


「あ、ごめんなさ……、お人形さんも聞いちゃった？」


　こくこくと紙の人形が頷く。


「内緒ね？」


　ぱたり。


「ああ……またお人形さん、腰砕け……」


　ユエの手の中に倒れた人形は、ユウナの笑顔に弱いらしく、人形が復活するまで休憩することになった。……とはいえ、餓鬼がいつ動き出すかわからない危険な中でだが。


　二人は膝をたてて座り込み、ぼそぼそと会話する。
　

「ユエが青龍殿にいるサクちゃんを呼びに行ってから、また会ったのは、ユウナちゃんを助けにこのお船に来る前のお空の上。笛を持っているユエを見たら、サクちゃんがこう言ったの」


――チビ、寝ている動物を起こすことができるくれぇの、高い音色出せねぇか？　黒陵の山の中の洞窟によくいた、コウモリみてぇな。イタ公と交信出来ねぇんだよ。元気はあるはずなのに応答がないというなら、寝てるってことだろ？

――動物には耳がキンキンするような音を出せよ。イタ公なら聞き取るはずだから。あいつ、野生に還ってるし。


「だけどユエ、浄化の笛で魔物の動きは止められても、この笛で動物……しかもイタチを起こしたことがなくて、どんな音を出せばいいのかわからなくて……」

「普通、どんな音かわからないから！」

「うん。わからないけどユエ、やってみたの…。そしたら鳥さんが泣いて暴れちゃって……」


　化け物みたいに大きな怪力鳥といえども、鳥は鳥。

　野生なら尚更、耳聡い。