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吼える月
第29章 変現
  
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「はぁ…っ、は…ぁううんっ、はぁ」


 ユウナの喘ぎは、痛みと熱による苦しげなものから、次第に甘さを含む官能的なものになっていった。


 痛みが薄れていくように思えるのは、サクが引き出してくる気持ちよさが、それに勝るほどに強いということ。どこでこうした技を身につけたのだろうか、思えば嫉妬の心が芽生えてくる。

 元来の不器用さの欠片も見せない、サクの指と舌。ユウナの弱い部分をすぐに探り当てるが、その動きは実に優しい。

 一方的に荒々しく動いて、ユウナを不安にさせることはなかった。


 だがサクは、ユウナの意識をこちらに向けたいために、優しい動きをしている主とは思えぬほど、ユウナに対して意地悪に…焦らすように振る舞う。


「姫様……、どうして欲しいのか言わないのなら、やめちゃいますよ?」


 サクのねっとりとした口淫により、胸の中心から…痛みを麻痺させるような甘い痺れが拡がり、そのざわざわとした官能のさざ波に揺られたユウナは、切なげな声を漏らした。


「姫様?」


 蕾を唇で引っ張り、答えを催促するサクと目が合う。

 可愛らしく首を傾げるその姿とはかけ離れて、直後にわざと伸ばされた舌での動きは、くねくねといやらしい。乳輪をなぞっては、蕾を舌先で揺らして、じれったい刺激をユウナに与えてくる。

 蕾への刺激と連動するように、秘部がきゅうきゅうと疼き……蕩け出している。

 ユウナの脳裏にリュカの声が蘇った。


――サクはどう思うだろうね。父親の敵に濡れてしまうお前のことを。
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